男は度胸、女は愛嬌。

愛嬌のない女が書す記

Hey! Say! JUMPで桃太郎をやってみた


むかしむかし、あるところにやぶ爺とひか婆が住んでいました。




ひか婆はホームセンターで買った便利グッズを使って家事を、やぶ爺は大好きなサッカーの試合を見にスペインへ行きました。





ある日、釣り歴10年のひか婆が川で釣りをしていると、大きな苺がダーラスダラスダーラ、ダーラスダラスダーと流れてきました。




「おっきな苺だなぁ!やぶに見せてあげよう。」


カシャ




〜LINE〜


『川で苺が釣れました(^ω^)』


『ちょっと今いいとこなんだけど。』


『一緒に食べようと思って(´・ω・`)』


『すぐ帰る』




ひか婆の誘いを断れないやぶ爺は大好きなサッカーの試合を途中で抜けて、ひか婆と苺が待つ家に帰ってきました。



早速食べようとひか婆が苺を切ると、それはそれは美しい顔の赤ん坊が苺の中から飛び出しました。



「オギャーー!」



やぶ爺とひか婆はその赤ん坊を山田太郎と名付け、育てることにしました。




山田太郎はやぶ爺とひか婆に大切に育てられ、とても美しい顔の普通の男の子へと成長しました。美意識が高い山田太郎は、ダイエットと筋トレで、全身バキバキの男の子になりました。



ある日、山田太郎はやぶ爺とひか婆に言いました。



「鬼ヶ島に行って鬼を退治してくる」



やぶ爺とひか婆は戸惑いましたが、山田太郎の強い思いをきいて送り出しました。



2人から見送られ、腰にひか婆がくれたいちご大福をぶら下げて、山田太郎は鬼ヶ島に向けて出発しました。






出発して早々、山田太郎は思いました。



「さすがに1人じゃ大変だからアイツを呼ぼう」




山田太郎スマホを取り出し、GPSを起動させ、仲良しのアイツのところへ行きました。



「あ、山ちゃん」


「お前どうせ暇だろ?鬼ヶ島行こうぜ」



山田太郎に誘われ、無理やり鬼ヶ島に行くことになったアイツは猿、ではなくゴリラでした。






山田太郎とゴリラが歩き進めていると、道の横に綺麗な毛並みをした犬がこっちを見ています。



「どうせ俺なんてだれも見ちゃいねえし…」


「なぁ、俺たち鬼ヶ島に行くんだけど」


「…俺も行っちゃダメですか?」


「じゃあこのいちご大福やるよ」


「え〜俺ダイエット中ぅ〜〜」


「山ちゃん、俺にはくれないの?」


「お前は黙ってろ」




さらに歩き進めると、目の前に背の高いスタイリッシュなキジが現れました。



「鬼ヶ島イクンダッテナ!」


「お前も行くか?」


「イク!ダイフククレ!ポゥ!」




こうして山田太郎はゴリラと犬とキジを連れて鬼ヶ島へとたどり着きました。






「おめえら騒ぐ準備はできてんのか〜!かかってこいや〜!!」




いつの間にかキラキラ衣装にカラコン、涙ボクロを装着した山田太郎は鬼ヶ島全体に叫びました。


すると小さめのぽっちゃりな赤鬼と、マッシュのやる気のなさそうな青鬼が出てきました。




「なんだお前らー!俺らに何のようだー!」


「大ちゃん!ケンカはやめて!」


「おめえらを退治しにきた!」


「なんだとー!」

「やんのかー!」



赤鬼と青鬼はナイスコンビネーションで次々とポーズを決めてきます。




「なにしてるの?」




突然、声がしました。辺りを見渡しても声の主は見当たりません。


「はっ!山田太郎とかいうやつが来ておりまして」

「ちょちょいのちょいで倒してやりますよ!」



「僕が話をする」



赤鬼と青鬼がぺこぺこしている間を目を凝らして見るとそこにはかわいらしいネズミがいました。



「僕たち悪いことしてないのに何で退治されちゃうの……??」


「かわいい!!!!!!!」




ウルウルした目で見上げるネズミに心が奪われた山田太郎は鬼退治をやめることにしました。



ネズミはゴリラともキジとも犬とも仲良くなりました。赤鬼と青鬼も遠くから仲間に入りたそうにしていたので、いちご大福をわけてあげました。


みんな仲良くなったのでLINEを交換してグループを作りました。




「ただいまー!」


やぶ爺とひか婆が迎えに出ると、そこには大所帯で歩く山田太郎がいました。



「みんな友だちになっちゃった!」


やぶ爺とひか婆の財力ではこんなに多くを養うことはできません。でも嬉しそうな山田太郎の姿を見て、やぶ爺とひか婆は全員の面倒をみることにしました。



〜LINE〜


「みんな大好きだよ」


「俺も」


「僕も」


「me too」





めでたし、めでたし。